2025年7-8月号
暮らしを支える地域公益活動を紹介します。

ほっとかへんネット佐用では、町内のひきこもり状態にある方への就労体験や職場見学の受け入れを進めています。今回は、取り組みを始めたきっかけや受け入れに向けた検討の様子を紹介します。
ほっとかへんネット佐用は、平成27年に町内10法人で設立されました。令和7年度より月に1度、各法人の実務担当者が集まる会議を開催して広報や災害時支援などの取り組みを協議しており、住民の困りごとを受け止める「総合相談体制の整備」にも取り組んできました。
一方、令和3から4年度に町役場では大学と共同で16歳から50歳までを対象に調査を実施し、対象世代が抱える健康問題や、およそ2.6%がひきこもり状態にあることが推定されました。町では、ひきこもり状態にある方の支援として、相談会や交流会および居場所の開催をしており、ほっとかへんネットとしてもこの課題に取り組んでいるところです。
さまざまな支援に取り組んでいる社会福祉法人・施設の職員ですが、ひきこもり状態にある方への支援は未経験のことばかりです。このため、令和6年度から2年をかけ、「当事者の声」「支援者の声」「仕組みづくり」について学ぶ機会を設けることにしました。
令和6年度はひきこもりを経験した元当事者に、家を出るまでの葛藤や支援者にどのような関わりを求めていたのかを聞き、これからの支援を考えるきっかけとしました。
研修に参加したメンバーからは、「本人が外に出ることは想像以上にハードルが高い」「当事者同士の交流から、就労への意欲を引き出すまでどう関われるか」などの声が上がり、ひきこもりに対する理解や課題認識を高めることができました。今後は、支援者などから就労体験や見学の仕組みや支援制度を学ぶための研修を行っていく予定です。
現在、実務担当者会議では、ほっとかへんネットの参加法人がひきこもり状態にあった方の就労の場を担えるよう、業務内容やどのような配慮が必要かなど、受け入れに向けた具体的な話し合いを進めています。
今後のひきこもりの方への支援について、ほっとかへんネット佐用の武内会長は「これまで総合相談を掲げて支援を検討してきたが、相談を待つだけでなく、いざ働きたいと気持ちが高まった時に、法人が受け皿になれるように準備を進めたい」と展望を語ります。取り組みはまだ始まったばかりですが、町役場などとも連携した今後の展開に多くの期待が集まっています。

ほっとかへんネット佐用
事務局:佐用町社会福祉協議会
TEL:0790-78-0830